近代作家研究叢書 |
監修:吉田精一(1〜105巻)・長谷川泉(106〜150巻) | ||
揃本体844,500円+税(各巻分売可) | ||
全IX期・全150巻・A5判・上製 | ||
1983年7月〜1993年6月刊 | ||
NDC910.26 | ||
近代の作家研究・作品研究に欠かせない研究・評論・伝記・随想・書誌などの文献資料を初刊本・初出等により復刻、文学史を踏まえた視点による解説を付す。
近代作家研究叢書 第I期 全30巻 (第1〜30巻) 揃本体115,000円 ISBN4-8205-0569-6 NDC910.26 83.7刊 大正文学研究会編 1. 芥川龍之介研究 関口安義解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0315-4 総論・特殊研究・作品論・思い出など23篇を収め、年譜・評論文献を附す。本書の諸論考によって、芥川龍之介の研究がようやく同時代評的な域を脱し、本格的研究の時代を迎えたことを告げたとも言える記念的論集。 大木惇夫著 2. 天馬のなげき −北原白秋伝− 河村政敏解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0315-4 「苦難の十字架を背負」った詩人白秋を、白秋および白秋の近親者、白秋門下生などからの聞き書きその他の諸資料によって「半ばドキュマン、半ばロマン」の書としてかかれたもので、広範な読者層に迎えられた白秋伝。 湯地孝著 3. 樋口一葉論 松坂俊夫解説 本体6,000円 ISBN4-8205-0315-4 樋口一葉の人と文学を時代的背景をふまえて考証し、作品各論では主題・人物・作の表現・構想・描法・文章などを分析、さらに一葉の思想・社会観・恋愛観その他を多角的に解明する、はじめて成った本格的一葉研究書。 中村光夫著 4. 志賀直哉論 遠藤祐解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0315-4 『暗夜行路』成立の与件を分析し、志賀直哉の自己形成過程を剔抉、志賀文学の神話性を相対化する。現在本書のテクストは数点に及ぶが、諸本は表現・表記にそれぞれ異同が見られる点からここに原点の初刊本を覆刻刊行。 伊藤信吉著 5. 島崎藤村の文学 〈増補版〉 垣田時也解説 本体6,000円 ISBN4-8205-0315-4 かつて階級意識を抒情的にうたい上げた著者が「詩的直観」と「社会的観点」から藤村の矛盾と葛藤の内的脈絡をさぐり、遂にその構図を明らかにした藤村研究書の嚆矢ともいうべき大著。新稿20枚の「回想記」を増補。 日夏耿之介著 6. 鴎外文学 長谷川泉解説 本体4,500円 ISBN4-8205-0316-2 鴎外のアイロニーと史料布置の方法は、いわゆる実証的研究のみではその一面をしか把握できなといえるなら、著者の一見衒学的に見える考察はより確かな鴎外文学の諸相を剔出し、多くの問題点を提起してやまない。 安部宙之介著 7. 三木露風研究 森田実歳解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0317-0 資料によって詩人露風を「語ろうと務め」て成った本書は、年譜的に露風の晩年までを考察し、露風の人と文学をあくまでも基本的な資料の整理と批判の範囲で論じた研究書。他に服部嘉香のエッセイ、作品・著書年表など。 安部宙之介著 8. 続・三木露風研究 森田実歳解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0318-9 続編は露風諸資料の集成で、露風の手紙・宗教・生活・その死などの諸篇のほか、文壇諸氏との交流、あるいは聞き書きなど正編で逸した貴重な資料と事項から成り、他に「血汐」「白虹」「山鳩」3誌の総目録、年譜を収録。 草野心平著 9. 宮沢賢治覚書 萬田努解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0319-7 冒頭の論考「四次元の芸術」では賢治のヒューマニズムの本質を解明し、「こころのひとつの風物」=「心象スケッチ」の「表現」に賢治詩成立のプロセスをさぐり、以下いずれも戦後数年間になる6篇の論稿を収録する。 井東憲著 10. 有島武郎の芸術と生涯 菊地弘解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0320-0 「まっとうに苦闘の歴史を刻」んだ有島の文学に傾倒した著者が、いわば直喩的な有島の表現の姿勢に「生命的にふれ」ることによって、有島の生活と思想芸術の二面から有島文学の「存在理由を証言」、鮮明に有島像を刻す。 金田一京助/土岐善麿/石川正雄編 11. 石川啄木研究 今井泰子解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0321-9 評論・追懐・新資料など16篇を収める。集中十余篇に伏せ字が見られる点、批判・賞揚のいずれにも現今啄木論の祖形を指摘できるなど、本書の編まれた時代の思潮と制約を示す書として今日的意義、資料的価値を持つ。 江馬修著 12. 人及び芸術家としての国木田独歩 滝藤満義解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0322-7 独歩没後9年目という時点に、新進作家の筆になる本書は最初の独歩の評伝という栄誉を担うと同時に、独歩の青春の内面のドラマとその構造を露わにしてみせた点など、最も早い業績の一つであり、創見も随所に見られる。 丸岡明著 13. 堀辰雄(人と作品) 池内輝雄解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0323-5 本書は4部仕立て、評論・エッセイ・小説・追悼記など15篇で構成され、堀文学の方法上の相違点を指摘し、堀辰雄の統一的作家像の把握をはじめ、各論は本格的作家作品論とし斬新な立論の場を得て他の追随を許さない。 中村光夫著 14. 二葉亭四迷論 畑有三解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0324-3 時代精神との乖離に苦悩した最初の人、二葉亭の文学は日本の近代を時代の趨勢と観じた啓蒙的思想家とは当然別の次元の所産であり、二葉亭の問題意識を引き受けた上での二葉亭四迷論は本書をもってまさに嚆矢とする。 小金井喜美子著 15. 森鴎外の系族 長谷川泉解説 本体5,000円 ISBN4-8205-0325-1 鴎外、篤次郎ほか身近に材をとり、事象の背景にかくれがちな人間の内面を簡潔で抑制されたさりげない筆致で描き出し、鴎外とほぼ同時代に生きた者の証言として貴重な資料を提供してくれるエッセイすべて22篇の集。 高浜虚子著 16. 漱石氏と私 井上百合子解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0326-X 漱石との交遊を疎にして親、親にして疎であったと追懐し、明治29年12月から大正2年6月にいたる漱石から虚子あての書簡102通を経とし、それぞれの書簡にまつわる挿話を緯として漱石文学の変遷過程を捉える。 岡保生著 17. 尾崎紅葉 −その基礎的研究− 伊狩章解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0327-8 生涯を文章の彫琢に辛苦した紅葉の文学を、先行あるいは同時代文学との影響関係、雅俗 折衷体から言文一致体への移行のプロセスその他を文体、品詞、用字などの分析や数値的側面からの考察によって解明する基礎的研究。 寺木定芳著 18. 人・泉鏡花 村松定孝解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0328-6 鏡花の生い立ちについての諸篇をはじめ、鏡花の恋愛、筆塚(湯島)、門下生、信仰、鏡花室(慶大内)、交友あるいは日常生活についてなど、学生時代に鏡花の門をたたき、以降親しく鏡花に接した者の眼から観た鏡花の諸相。 日夏耿之介著 19. 谷崎文学 千葉俊二解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0329-4 文学の批評は何よりもまず徹底したテクストの読みからはじまると説き、この一見常識的でもある基礎的作業をふまえて卓抜、希代の修辞法によって作家・作品論(「蓼喰ふ虫」「乱菊物語」「春琴抄」「細雪」)などの諸稿を紡ぐ。 吉田孤羊著 20. 啄木を繞る人々 今井泰子解説 本体5,500円 ISBN4-8205-0330-8 広く世に讃仰者を得ている人物を描く場合、常につき纏う先入観という陥穽を避けることを自戒とした著者は、啄木の血縁の人々、故郷の人々、北海道時代の人々、文壇の人々など、その多彩な人間群像を鮮明に描き出す。 恒藤恭著 21. 旧友芥川龍之介 関口安義解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0331-6 師友に恵まれた芥川にとっても、本書の著者はまた特に心を許せる友人であったとすれば、それに応える本書は、一般に見られる作家芥川と芥川の作品を思い入れによって混同する愚を犯すことなく、芥川とその文学を語る。 古谷綱武著 22. 川端康成 羽鳥徹哉解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0332-4 川端康成がまだ論じにくい作家とされていた時代に成った論考13篇。各論は川端文学に見る手法、人生、情熱、複写、文章、会話、登場人物、別に「禽獣」「母の初恋」「父母」「扉」など、創見に満ちた作品論を展開させる。 古谷綱武著 23. 横光利一 −私の作家研究− 井上謙解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0333-2 同時代人の視座から昭和文学に一時代を画した横光利一とその文学に鋭角的な思考と感覚、深い洞察力をもって迫り、横光評価の基準と方向性を重層多角的な所論のうちに展開した著者の最も早い時期における作家作品論。 日夏耿之介著 24. 荷風文学 柘植光彦解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0334-0 江戸文人の考証随筆に凝したともいえる荷風の文学を論ずるに、評者もまたそのスタイルを通わせる如くであるが、一語一句に諸喩をふくめ、鋭い言語感覚を以て作品世界の時代、芸術性、思想性、構造などを考察解明する。 坪内士行著 25. 坪内逍遥研究 十川信介解説 本体3,000円 ISBN4-8205-0335-9 先人未踏の領域にあって、近代文学の樹立、あるいは演劇革新に生きた逍遥の生涯を7期に分け、逍遥の人間性、文学や演劇に対する屈折した情熱、あるいは日常身近に関することなど、多岐にわる研究論考と証言の書。 瀬沼茂樹著 26. 島崎藤村 −その生涯と作品− 垣田時也解説 本体4,500円 ISBN4-8205-0336-7 犀利で着実な史観と柔軟な思考によって客観的な文献資料の捜査収集批判を確実におさえ、藤村の生きた時代と社会への展望を背景として抑制され計算された藤村の作品と作家藤村の深奥を探り、藤村研究の基盤を構築。 西本秋夫著 27. 北原白秋の研究 河村政敏解説 本体4,500円 ISBN4-8205-0337-5 白秋の詩業を文学以前の場で捉えなおそうと試みるため、新資料によって白秋の恋愛と作品との関連をさぐり、その創作過程を明らかにし、また初期歌論関係の諸資料を整理して従来等閑に付せられていた側面を新たに照射。 斉藤茂吉編 28. 長塚節研究 上 大戸三千枝解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0338-3 巻頭に茂吉の「長塚節の歌」を収め、以下はアララギ短歌会会員による『長塚節歌集』の合評。評者は岡麓、土屋文明、高田浪吉、鹿児島寿蔵、森山汀川、佐藤佐太郎、柴生田稔、五味保義その他、すべて30名をかぞえる。 斉藤茂吉編 29. 長塚節研究 下 大戸三千枝解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0339-1 一歌人の生涯にわたる作品800余首を対象として合評という形式で前後34回におよんで論じられた例は他には皆無であり、1首1首についての評言は節の短歌の鑑賞・研究であり、また期せずして評者自身の短歌論でもある。 古谷綱武著 30. 宮沢賢治の文学 萬田務解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0340-5 賢治にとっての郷土は「祈願をイメージする場所である」と観る著者は、賢治の文学の根本的な命題とイメージの諸相を剔出してゆく。「孤独について−銀河鉄道の夜をめぐって−」ほか愛情、宇宙性、弱者、観察などの諸論。 近代作家研究叢書 第II期 全15巻 (第31〜45巻) 揃本体72,500円 ISBN4-8205-0570-X NDC910.26 84.9刊 佐藤春夫著 31. わが龍之介像 関口安義解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0341-3 芥川自決の直後から敗戦後間もなくまでに書かれた芥川回想の諸篇を収録。自序に「彼を通じてわたくしを語り、またわたくしを通じて彼を語る」「合せ鏡のやうな」ものである、と本書への述懐が見える。 (昭34・有信堂) 矢野峰人著 32. 蒲原有明研究 〈新訂版〉 野山嘉正解説 本体9,000円 ISBN4-8205-0342-1 有明の研究と逸詩の2部からなり、研究編は有明の伝記、作品論、解釈など、逸詩編は創作詩39篇を収め、ほかに諸資料を附す。旧版を大幅にあらため、増補した決定版をさらに改訂、新訂版として覆刊。 (昭39・刀江書院) 野田宇太郎著 33. パンの会 近代文芸青春史研究 林廣親解説 本体5,500円 ISBN4-8205-0343-X 明治末年、従来の音楽的象徴主義に抗して絵画的印象主義を標榜し、いわば青春の文学としての彩りともいえる耽美主義を成立させた「パンの会」の詩人・作家・美術家の群像を多角的に論じた諸篇。 (昭24・六興出版社) 塩谷贊著 34. 露伴の魔 その文献的研究 登尾豊解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0344-8 風流の探求によって、人間性のなかの魔的なものに肉薄しようとした露伴の「魔の時代」の諸作品の考察をはじめ、露伴の旅、世相小説、時代小説についての論考および鴎外の露伴観などの論稿を収録。 (昭24・角川書店) 蔵原惟人/中野重治編 35. 小林多喜二研究 浦西和彦解説 本体4,200円 ISBN4-8205-0345-6 「小林多喜二の生涯」をはじめ、作品研究9篇、回想2篇、その他1篇などから成る。本書の成立は、中野重治が「前がき」にいうごとく、まさに小林多喜二研究の「新しい階段を示す第一歩であった。」 (昭23・解放社) 佐藤佐太郎著 36. 斉藤茂吉研究 藤岡武雄解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0346-4 「斉藤茂吉短歌研究」を冒頭に、茂吉の「老年」「初期の歌」「人と生活」「茂吉と万葉集」などの研究論考および「斉藤茂吉先生葬送記」など茂吉研究を生涯の課題とする著者にして初めて究め得た1巻。 (昭32・宝文館) 大正文学研究会編 37. 志賀直哉研究 遠藤祐解説 本体6,000円 ISBN4-8205-0347-2 総論として「白樺における志賀直哉」、各論は志賀直哉、志賀文学の文体・形式・私小説・古典・実篤・性格・影響などの研究と作品論15篇によって志賀直哉の人・思想・作品について多角的に考察する。 (昭19・河出書房) 福田恆存著 38. 太宰と芥川 東郷克美解説 ISBN4-8205-0348-0 社会的現実にだけでなく自我そのものの現実に対する傾きに真実を賭ける芥川の比喩の文学、芥川の生涯と作品系列とを、いわば逆に生きた太宰の文学、二人の傑出した作家の実像にそれぞれの十字架を探る。 (昭23・新潮社) 中村光夫著 39. 谷崎潤一郎論 千葉俊二解説 本体4,300円 ISBN4-8205-0349-9 「神童」「異端者の悲しみ」「捨てられる迄」「饒太郎」「痴人の愛」「春琴抄」などの作品論を軸に、谷崎文学の母胎に、谷崎の知の領域をも律する強固な自我、いわば肉体の存在を剔出した3部構成の論集。 (昭27・河出書房) 柳田泉著 40. 若き坪内逍遥 〈明治文学研究I〉 中村完解説 本体6,500円 ISBN4-8205-0350-2 明治文学・坪内逍遥については戦前すでに実証的研究をもつ著者の第2期ともいうべき逍遥研究の一本として纏められたもので、幅広い視野と浩瀚な資料の考証によって逍遥文学の位相を解明する。 (昭35・春秋社) 板垣直子著 41. 漱石文学の背景 井上百合子解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0351-0 漱石の作品に見る西欧作家、詩人などの影響関係について「吾輩は猫である」とスウィフト、「倫敦塔」とシェークスピアなど、漱石の初期の作品から晩年の「明暗」にいたるまでを論じた16篇からなる。 (昭31・鱒書房) 田辺夏子/三宅花圃著 42. 一葉の憶ひ出 〈新修版〉 松坂俊夫解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0352-9 歌塾萩の舎での一葉の盟友田辺(旧姓伊東)夏子の『一葉の憶ひ出』「わが友樋口一葉のこと」および同じく萩の舎同門で一葉の先輩にあたる三宅花圃の「女文豪が活躍の面影」他を収めて一葉観を対照。 (昭25・潮鳴会ほか) 古谷綱武著 43. 宮沢賢治研究 萬田務解説 本体4,500円 ISBN4-8205-0353-7 「まづもろともにかがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう」と詠んだ賢治文学の諸相を、「個性の風土」「行動への胎動」「完成への道程」「イーハトヴォ紀行」などの諸論考によって剔抉してゆく。 (昭23・日本社) 由良哲次著 44. 横光利一の芸術思想 〈増補版〉 井上謙解説 本体3,500円 ISBN4-8205-0354-5 戦前いち早く横光文学研究の端緒をもたらした『横光利一の芸術思想』のほか、「横光利一小論〈とくに『旅愁』を中心として〉」「横光利一と『旅愁』の構想」「横光利一の『青春碑』」他と横光の略歴を増補。 (昭12・沙羅書店) 勝峯晋風著 45. 明治俳諧史話 山下一海解説 本体6,000円 ISBN4-8205-0355-3 従来ともすれば等閑に附されがちであった子規以前の明治俳諧についてその欠を補うため大夢庵千畝、夜荘庵化悉ほか旧派俳匠からの聞きがきおよび諸資料を精査考証して俳壇の動勢、俳人の業績を追う。 (昭9・大誠堂) 近代作家研究叢書 第III期 全15巻 (第46〜60巻) 揃本体93,000円 秋田雨雀著 46. 雨雀自伝 祖父江昭二解説 本体6,500円 ISBN4-8205-0675-7 雨雀は晩年にいたって「自分のために」「また、自分の時代のために」「私個人の生活を中心とした」「一つのおぼえがき」を都合4篇書いているが、本書はその最後の一本で、明治16年から昭和28年までの自伝。 (昭28・新評論社) 竹内真著 47. 芥川龍之介の研究 関口安義解説 本体8,000円 ISBN4-8205-0676-5 実証的に資料を批判し、芥川文学を文学史のうちの一部門として体系づけるため、新たな鑑賞方法をもって芥川および芥川をとりまく偶然および遺伝・生育・境遇・時代などを考察し、鮮明な芥川像を刻す。 (昭9・大同館) 石川正雄著 48. 父啄木を語る 上田博解説 本体8,000円 ISBN4-8205-0677-3 「泣くよりも」以下の諸稿は、啄木への限りない敬愛の情を示す一方、厳しい自己規制によって啄木を対象化し、従来観念的虚無思想にすぎないとして切り捨てられて来た詩篇その他の復権をおこなう。 (昭11・三笠書房) 蒲生欣一郎著 49. もうひとりの泉鏡花 山田有策解説 本体8,000円 ISBN4-8205-0678-1 鏡花研究の基本的姿勢として、作家の私生活を詮索して意味を求めることを排し、あくまでも作品に即して作家の独自性を追及し、リジオナル・リテラチュールの立場から論考しようと試みたもの。 (昭40・東京産業企画) 岡田八千代著 50. 若き日の小山内薫 藤木宏幸解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0679-X 薫、八千代の兄妹の父が広島で急逝したのち、一家が東京へ引き揚げて来てから住んだ四つの町の名を章立てに、薫が小学生の頃から筆をおこし、やがて演劇人として活躍するまでを淡々とした筆致で描く。 (昭15・古今書院) 前田夕暮著 51. 白秋追憶 山田吉郎解説 本体5,500円 ISBN4-8205-0680-3 大正12年1月から14年8月にいたる白秋との3年間の交遊記18章(追憶篇)および白秋の長歌・民謡・『雲母集』その他の稿(鑑賞篇)、さらに上記の期間における白秋からの書簡37通(書簡篇)などを収録。 (昭23・健文社) 福田清人著 52. 尾崎紅葉 岡保生解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0681-1 政治小説と草のにおいの文学の狭に、江戸の好尚や瀟洒の風を甦らせた紅葉およびその一門の文学を、日本が近代化への「過程」における「都市」の文学として規定し、その成立から成熟までを分析、解明する。 (昭16・弘文堂) 絲屋寿雄著 53. 幸徳秋水研究 〈増訂版〉 森山重雄解説 本体7,000円 ISBN4-8205-0682-X 幸徳秋水の生涯と思想を、現在得られる限りの資料と近代史研究の諸成果を採り入れて考証し、秋水の思想に史的位置づけを行ない、思想史研究の課題に答える。増補「戦後における幸徳秋水研究の歴史」 (昭42・青木書店) 川副国基著 54. 島村抱月 −人及び文学者として− 和田謹吾解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0683-8 日本文学が西欧の近代を受け容れてゆく過程で、もっとも問題を抱えた場を占めていたにもかかわらず、従来ともすれば逍遥の影にかくれていた抱月をはじめて真向からとり上げて多面的に考察する。 (昭28・早大出版部) 柳田泉著 55. 「小説神髄」研究 中村完解説 本体7,000円 ISBN4-8205-0684-6 本文検討の方法として各節を評釈風に読み下し、その問題に批評・誤謬の指摘・考察などを挾むという一見古典的な手法を以って『小説神髄』のもつ意味および意図・成立・方法・文体・思想などを剔抉する。 (昭41・春秋社) 板垣直子著 56. 婦人作家評伝 井上百合子解説 本体8,000円 ISBN4-8205-0685-4 芙美子・百合子・かの子・信子・たい子・稲子・藤子など六氏について伝記と文学的業績の二側面からとりあげ、それぞれがいかに現実に抗し、あるいはいかに現実を容けいれたかを軸にした作家論。 (昭29・メヂカルフレンド社) 中村光夫著 57. 二葉亭四迷伝 畑有三解説 本体7,000円 ISBN4-8205-0686-2 遂に文学の呪縛から逃れることのできなかった二葉亭の悲劇的な生涯を、深い共感と厳しい批評精神によって詳述し、日本近代の草創期に生きた知識人の演じた情熱の由って来るところを探る。 (昭33・大日本雄弁会講談社) 平輪光三著 58. 野口雨情 佐々木靖章解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0687-0 簡潔平明な行文のうちに、野口雨情の詩と生涯を限りない愛惜の念と精緻な資料検討によって描き出し、俗間の誤伝を正し、雨情詩への的確な指摘と示唆をおりこんだ批判に耐えるはじめての雨情伝として屹立。 (昭32・雄山閣) 森於莵/森潤三郎編 59. 鴎外遺珠と思ひ出 長谷川泉解説 本体8,000円 ISBN4-8205-0688-9 『鴎外全集』(大12)、『鴎外拾遺』に収録を逸した鴎外の諸稿および森於莵・森潤三郎・小金井喜美子・与謝野寛などの鴎外の思い出、ほかにヂューリング氏著作目録外1篇等鴎外研究の基本的資料の集成。 (昭8・昭和書房) 岩上順一著 60. 横光利一 井上謙解説 本体4,000円 ISBN4-8205-0689-7 横光文学を「概念を怖れ」「観念にたいする執拗極まりない追求の行程であ」ると規定し、新感覚派は「観念に対する感覚の代置」と観る著者の戦前における横光批判の一結節点であり、また原点ともいえよう。 (昭17・三笠書房) 近代作家研究叢書 第IV期 全15巻 (第61〜75巻) 揃本体96,000円 ISBN4-8205-9013-8 NDC910.26 89.10刊 金田一京助著 61. 石川啄木 上田博解説 本体8,500円 ISBN4-8205-9014-6 I 『啄木余響』は「宿命」「生ひ立ちの記」「流離から再会」などの10篇を、II 『追想記その折々』 は「啄木逝いて十年」「けふ啄木の十年忌」ほか4篇を収めた2部構成で、亡友啄木への愛惜と追慕の書。 (昭9・文教閣) 土屋文明著 62. 伊藤左千夫 藤岡武雄解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9015-4 左千夫の生い立ちから晩年まで作家生活を中心に、子規師事時代、連作のこと、「アカネ」および「アララギ」など結社をめぐる諸問題、さらに左千夫と萬葉集・小説についての考察などにおよぶ評伝。 (昭37・白玉書房) 長沼弘毅著 63. 人間宇野浩二 榎本隆司解説 本体5,500円 ISBN4-8205-9016-2 「雁のたより・燕の便り」[ I ] は、著者と宇野浩二との間に交わされた書簡(収録は宇野文のみ)を軸にした回想、「三重次の話−真説『思ひ川』−」[ II ] は、同作品執筆時代の宇野を同時進行で描く。 (昭40・講談社) 江口渙著 64. わが文学半生記 浦西和彦解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9017-0 漱石山房をめぐる諸篇は、師漱石およびその周辺の作家の回想を、以下高村光太郎・芥川龍之介・佐藤春夫・菊池寛・宇野浩二・有島武郎などとの交遊など、文学修行時代から作家生活にいたる半生記。 (昭28・青木書店) 江馬修著 65. 一作家の歩み 天児直美解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9018-9 なぜ「文学を志す」のかと自らに問い続け、悩み苦悩し、逡巡と挫折の連続であった40余年におよぶ作家生活を、自伝的叙法と回想記的姿勢を排し、あくまでも自己の真実を探る、自己への問いかけの記録。 (昭22・理論社) 蒲原有明著 66. 飛雲抄 野山嘉正解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9019-7 「わたしの不祥の児は、せめてちぎれ雲に乗せて幻想の天にでも飛ばせてやりたい」「これは、偏に人間の妄執が醸し出す雲である。題して飛雲抄という。」(「序」)。詩人また等しなみ人の児であると。 (昭13・書物展望社) 笹本寅著 67. 文壇手帖 中島河太郎解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9020-0 いわゆる「大衆作家」「女流作家」が世に出るまでの挿話および作家の人と作品・作家訪問記・作家との1問1答・文壇闘争史・時事新報社退散記など、作家の見聞記の集録で、前著『文壇郷土記』の姉妹編。 (昭9・橘書房) 柳田泉著 68. 田山花袋の文学 (1) 花袋文学の母胎 尾形明子解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9021-9 所詮田舎者の文学と呼ばれた花袋の文学成立を、花袋を育んだ館林、秋元両藩の風土と学風から探り、従来の自然主義文学=詩から散文への図式を根底から問い直す基礎作業と新たな布石を行なった研究書。 (昭32・春秋社) 佐藤春夫著 69. 荷風雑感 竹盛天雄解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9022-7 類い稀な詩人(であり作家でもある)荷風の人と作品を、同じく詩に殉じた作家が折りにふれて筆にした「雑観」集で、文学あるいは作家であるという自明の前提や枠組を取り払うという自己背反の記録。 (昭22・国立書房) 板垣直子著 70. 詳伝 樋口一葉 松坂俊夫解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9023-5 一葉ゆかりの人々からの聞きとりと資料精査による「伝記」、時代的背景と文壇的情勢から見た一葉の「文学」、それからの止揚「一葉の人及び人生観」を以って、明治を生きた一葉に属性否定の志を見る。 (昭17・桃蹊書房) 吉村貞司著 71. 堀辰雄 −魂の遍歴として− 池内輝雄解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9024-3 稚ない孤独な魂が「出発」し、「美しい村」や「風立ちぬ」の風土を生き、やがて「死のかげの谷」にいたるまでの薄明と優しい会釈や愛のかたちなど、いわば青春と人生への鎮魂を描いた堀文学頌歌。 (昭30・東京ライフ社) 塩田良平著 72. 山田美妙研究 山田有策解説 本体9,000円 ISBN4-8205-9025-1 『我楽多文庫』によって戯作にあそび、次いで言文一致・新体詩等を試み、『日本韻文論』を著して近代における最初の詩文表記の論争を招いた山田美妙の最も早い、またその後を見ない基礎的研究書。 (昭13・人文書院) 山田宗睦著 73.山本周五郎 −宿命と人間の絆− 木村久邇典解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9026-X 「渺たる人間の歴史を厘毛もかえぬとはいえ、その哀感をよそにしてはなりたたぬような人間」を「失うことができないもの」としてえがたい作品とみることは、「──ちがいますか、周五郎さん。」 (昭49・芸術生活社) 木俣修著 74. 白秋研究 I 短歌篇 横尾文子解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9027-8 白秋の初期から晩年に至るまでの短歌を、制作年代順・歌集刊行順に排列して解説し、さらに鑑賞と批判をおこなって白秋短歌の史的変遷をさぐり、文学への姿勢の奈辺を問い、内なるものを解明する。 (昭29・新典書房) 木俣修著 75. 白秋研究 II 白秋とその周辺 横尾文子解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9028-6 北原白秋および同時代歌人ほかからの白秋宛の書簡を引いて白秋とその周辺の人々との関係を明らかにし、白秋の詩歌史的研究ならびにその人間関係に新しい照射を試み、従来の白秋研究に一石を投じる。 (昭30・新典書房) 近代作家研究叢書 第V期 全15巻 (第76〜90巻) 揃本体94,000円 ISBN4-8205-9030-8 NDC910.26 90.1刊 青野季吉著 76. 文学五十年 祖父江昭二解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9031-6 「うき草」はわたしにとって運命であった、という文学との出会いから、思想と政治の時代を経て「回心の文学」を表明し、のちは傷ついた良識を拠りどころに評論活動を続けた転変の「私文学史」60章。 (昭32・筑摩書房) 三浦光子著 77. 悲しき兄啄木 上田博解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9032-4 長く生き残った妹の悲劇の書として病いをおして書きつがれた立待崎と函館をめぐる啄木の墳墓のこと、故山渋民村のことなど7篇収録。 〔附〕 同じ著者による啄木回想記数篇を初出誌からとって収めた。 (昭23・初音書房) 小高根二郎著 78. 詩人、その生涯と運命 伊東静雄の詩と真実 田中俊廣解説 本体16,000円 ISBN4-8205-9033-2 詩人の書簡377通と詩稿その他を配して、大正15年(学生時代)から昭和28年(没年)に至るまでの年譜考証風に克明な筆致で辿り、「幸うすく世を過ぎた友等の霊に捧」げるべく書き綴られた鎮魂の譜。 (昭40・新潮社) 木村艸太著 79. 魔の宴 前五十年文学生活の回想 中島河太郎解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9034-0 生いたちから姉木村曙をはじめ、小山内薫・藤村・潤一郎・荷風のこと、さらに伊藤野枝との恋とその破綻、新しき村のこと、その他ただ事実を描くことを自らに課して成る。著者は本書上梓直前自決。 (昭25・朝日新聞社) 岩田正著 80. 釈迢空 長谷川政春解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9035-9 ひそけさとかそけさの怪しい薄明の戦慄すべき抒情を紡いだ釈迢空の詩(短歌)の成立過程とそのかたちをさぐり、類い稀な詩人の深奥にひそむ原初的な精神のありかを直截的に分析し、剔抉する歌人論。 (昭47・紀伊国屋書店) 中村光夫著 81. 佐藤春夫論 鳥居邦朗解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9036-7 野をわたるしぐれを喞つ詩人が、近代の所産である「憂鬱」をいかに描いたかを問う「田園の憂鬱」論をはじめ、「都会の憂鬱」ほかの作品論・作家論によって鮮やかに春夫の資質と文学観を解明する。 (昭37・文藝春秋新社) 守屋喜七編 82. 島木赤彦 宮川康雄解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9037-5 島木赤彦論として屹立する「歌人としての島木赤彦」(茂吉)、「教育者としての久保田俊彦」(喜七)の2篇に、参考資料として「島木赤彦」(北住敏夫・宮川康雄共著)を附した増補版。 (昭12・久保田俊彦先生追悼謝恩会) 舟木枳郎著 83. 小川未明童話研究 桑原三郎解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9038-3 めまぐるしい児童文学評価の変遷の過程において、常に問題を提起しつづけてやまない小川未明の童話の位置づけを、未明の人と思想および作品論において児童と文学の奈辺を問うことによって措定する。 (昭29・宝文館) 河合酔茗著 84. 酔茗詩話 野山嘉正解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9039-1 近代詩の歴史・詩人・技法その他を内部と外部から語る明治詩大要・『文庫』の全貌・詩人とその時代・詩話・詩書雑筆その他から成り、日本における叙情詩の成立の経緯と詩人像を鮮明に描く詩論集。 (昭12・人文書院) 北住俊夫著 85. 写生説の研究 藤岡武雄解説 本体9,000円 ISBN4-8205-9040-5 日本における文学概念としての「写生説」を通観し、さらにその成立から展開を克明に分析して考察、「写実」という一般用語を「写生」といい換えて行なわれたことの意味から先ず明らかにしてゆく。 (昭30・角川文庫) 森荘巳池著 86. 野の教師宮沢賢治 続橋達雄解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9041-3 文学がいわゆる制度と別次元の場でしか成り立たないことを示す学校劇の挿話(「イギリス海岸にて」)をはじめ、賢治との「対話」、「座談会・賢治素描」によって詩が現実を撃つことをあらためて説き明かす。 (昭35・普通社) 宮本顕治著 87. 百合子追想 浦西和彦解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9042-1 時流に抗して生きた宮本百合子の追想9篇をはじめ、小林多喜二の思い出その他の回想を収め、「彼らがその才能と生涯をかけたものは、明日へ語りかけることを止めないであろう」と哀惜をこめて説き明かす。 (昭26・第三書房) 小山茂市著 88. 暮鳥伝 (付 石楠集) 和田義昭解説 本体4,500円 ISBN4-8205-9043-X 暮鳥と師弟関係にあった著者が、事実にもとづいて書くことが暮鳥に対する責務であると、自己を律して成った「山村暮鳥伝」「暮鳥の詩の変遷とそれに絡まる余談」および歌稿「石楠集」などを収める。 (昭39・私家版) 藤原定著 89. 萩原朔太郎 坪内稔典解説 本体4,500円 ISBN4-8205-9044-8 朔太郎がイメージした風景とその喪失の過程を、詩作の展開を追って考察し、詩人の内部にひそむ病める精神に近代人の宿命的構図をさぐる。朔太郎に激しく惹かれ、また抵抗を感じつつ稿を成すという。 (昭26・角川書店) 本間久雄著 90. 明治文学 作家論 岡保生解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9045-6 明治文学史のための資料的試論として書かれた(「まえがき」)という本書は、所説を坪内逍遥以下15名の作家に展開させ、『みだれ髪』ほど「言語」の位相についての問題を提供する作品は少ないと説く。 (昭26・早稲田大学出版部) 近代作家研究叢書 第VI期 全15巻 (第91〜105巻) 揃本体85,000円 ISBN4-8205-9047-2 NDC910.26 90.3刊 下島勲著 91. 芥川龍之介の回想 平岡敏夫解説 本体3,000円 ISBN4-8205-9048-0 芥川の最後を診とった「芥川龍之介終焉の前後」は主治医の立場から、「芥川君の日常」「それからそれ」「古織部の角鉢」ほかは友人としての交友記、終わりは「河童記」をもって結ぶ全17篇の回想集。 (昭22・靖文社) 原田種夫著 92. さすらいの歌 中島河太郎解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9049-9 「愛と別れ」は江口章子の生い立ちから白秋との邂逅と結婚、そして離別を、「さすらいの歌」はその後の章子の生活の変転をたどり、ひたすら愛と詩に生きた章子の数奇な人生の軌跡を描く愛惜の書。 (昭47・新潮社) 谷崎精二著 93. 放浪の作家 葛西善蔵評伝 大森澄雄解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9050-2 自明のことに見えて常に陥りがちな作者と作品の同一視を避け得るとしたら、評者は何を以って作品の「私」と作者の「私」を峻別し得るか、という重い命題に答え得る同時代作家の描く葛西善蔵評伝。 (昭30・現代社) 高木卓著 94. 人間露伴 登尾豊解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9051-0 露伴の甥の立場から視た露伴の回想集で、日常的な思い出のほかに聞き書きによる露伴の俳話、露伴の娘の言葉、露伴の妹の言葉など、総じて「ことば」から把えた露伴像として出色の書といえよう。 (昭23・丹頂書房) 笹本寅著 95. 大菩薩峠 中里介山 中島河太郎解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9052-9 茫然、洋とした作家中里介山と犬・独身会・碁・新国劇・日記紛失事件など、いわばありふれた手法ともいえる挿話の積み重ねによって、著者の冴えた筆致は見事に1人の作家像を構築してみせる。 (昭31・河出書房) 前田夕暮著 96. 素描 自叙伝体短歌選釈 石本隆一解説 本体8,000円 ISBN4-8205-9053-7 歌人としての半生を、自詠の短歌および日記・旅行記その他によってその生い立ちから注記し、自己を幾重にも凝視するという類稀な構図によって自伝的記録と自作歌との相関関係を説き明かしていく。 (昭15・八雲書房) 小泉苳三著 97. 正岡子規 根岸短歌会の位相 松井利彦解説 本体3,000円 ISBN4-8205-9054-5 子規を中心とする「根岸短歌会」の成立・その意義・作品会の人々・その短歌観・史的地位など、「写実主義」の理論と作品・歌人を、静(テクスト)と動(歌人・会の運動)の両側面から解明。附・短歌中心年表。 (昭9・立命館出版部) 臼井吉見著 98. 宮本百合子研究 浦西和彦解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9055-3 明晰で強靭な知性と豊かな感性に彩られた百合子の文学を、本多秋五・坪井繁治・岩上順一・小田切秀雄・福田恆存・中橋一夫・臼井吉見など7氏によってそれぞれの立場から把えた作家論集。 (昭23・津人書房) 中西悟堂著 99. 啄木の詩歌と其一生 上田博解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9056-1 啄木の生涯をただ年譜的になぞることを避け、詩人悟堂は啄木の詩歌を以ってその一生を点綴し、さらに『あこがれ』編中16篇の詩譚を試みた。感性の共鳴を奏でる啄木への愛惜に満ちた1つの解釈。 (昭3・交蘭社) 石井庄司著 100. 志賀直哉ノオト 遠藤祐解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9057-X 昭和10年代に、夙くも志賀文学に見られる用語に着目し、特に「気」と「感」についての考察を試み、その用語索引をつくる一方、志賀の散文精神および自然描写、さらに、志賀の「自我」を剔抉。 (昭23・斉藤書店) 島為男著 101. 夏目さんの人及思想 井上百合子解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9058-8 「夏目さん」と親しく呼びかけるように漱石を論じた本書は、数多い漱石論中比較的初期のものに属すが、ここでは早くも「草枕」の新手法に焦点をあて、いわゆる「峠の向う側」の世界を考証。 (昭2・大同館出版) 吉野秀雄著 102. 鹿鳴集歌解 若月忠信解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9059-6 『鹿鳴集歌解』は、のちに『自註』誕生を誘す契機ともいえる位置と厳として屹立するすぐれた註釈書としての二側面を持ち、八一の透徹した詩精神に応える批評眼と鑑賞の姿勢は特筆に値する。 (昭22・創元社) 中根駒十郎編 103. 国木田独歩 滝藤満義解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9060-X 独歩逝ってただちに成った論集で、独歩の総論に類する稿・作品論・回想およびその他の逸話など、合わせて43篇を収めた同時代人による臨場感にあふれる追悼文集として群を抜く1巻。 (『新潮』明治41年7月独歩追悼特別号・新潮社) 佐藤亮雄著 104. みだれ髪攷 関礼子解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9061-8 『みだれ髪』成立の経緯、集録歌の解釈、そのいずれも往復書簡を含めた晶子の自筆書簡60余通を1次資料として用い、校本、拾遺・索引・成立の各篇を見事に呼応させて構成する。附・みだれ髪出典一覧。 (昭31・修道社) 山本健吉著 105. 私小説作家論 吉田熈生解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9062-6 近代文学研究に常につき纏う「私小説」の「私」の問題を、ここでは私小説をより広い言葉の「場」において把えることによって解き放ち、近代の所産でもある近代人の「私」を解明する。 (初版昭和18、底本昭和41・審美社) 近代作家研究叢書 第VII期 全15巻 (第106〜120巻) 揃本体103,000円 ISBN4-8205-9204-1 NDC910.26 92.10刊 山岸外史著 106. 芥川龍之介 宮坂覺解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9205-X 芥川龍之介と近代・キリスト教などについても最も根源的な視点から問い、さらに芥川の恋愛観の考察、作家・作品論におよび、芥川の作品を解くイージーな鍵など、どこにもないことを示す。 (昭15・ぐろりあ・そさえて) 国崎望久太郎著 107. 啄木論序説 上田博解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9206-8 「啄木研究史の瞥見」を冒頭に、浪漫主義・自然主義・社会主義などを主唱した啄木の創作活動や諸主義の標榜が、いずれも 円熟を見ることなく変転する過程に啄木の基本的発想の図式を観る。 (昭31・法律文化社) 村松定孝著 108. 泉鏡花 〈増補版〉 笠原伸夫解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9207-6 家系から晩年までを考証する「泉鏡花伝」、鏡花文学の史的位相ほかをさぐる「泉鏡花論考」、師友関係を詳述する「泉鏡花をめぐる人々」および「鏡花小説鑑賞十夜」など、鏡花研究に新たな地平を拓く。 (昭49・冬樹社) 岡本一平著 109. かの子の記 熊坂敦子解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9208-4 岡本かの子の死からほぼ4年の間に成った随想「かの子と観世音」「きれいな人間」「律儀」「さの字」「浅草見物」など31篇。「また一つ、白歯を折らん/偽りを、われまたいひぬ」(かの子)と。 (昭17・小学館) 読売新聞文化部編 110. 実録川端康成 羽鳥徹哉解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9209-2 諸資料と聞き書きによって「自己を語らぬ作家」川端康成の家系・生誕から晩年までを実生活に即した年次的構成によって検証、康成の文学活動を4期に大別する観点から作品・人間関係を詳述。 (昭44・読売新聞社) 涙香会編 111. 黒岩涙香 伊藤秀雄解説 本体16,500円 ISBN4-8205-9210-6 俗にあって俗を排した黒岩涙香が自らを述べる「先生自ら語る」(41篇)、諸家の追懐「諸名士の談話」(46篇)、詩歌・相撲その他を語る「先生と余技」(9篇)、等の全118篇。涙香の三周忌を期して上梓された。 (大11・扶桑社) 瀧井孝作著 112. 志賀直哉対談日誌 〈増補版〉 紅野敏郎解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9211-4 ものを観る眼の確かさに裏打ちされた『俳人仲間』『志賀さんの生活など』などと共に書き継がれた一連の随想集の一つで、日記体をかりた志賀直哉との対談および新たに関連資料を収めた新編集の増補版。 (昭22・全国書房・他) 辰野隆著 113. 谷崎潤一郎 秦垣平解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9212-2 著者自ら本書を「人生散策者の閑文字」という(序文)が、正に「散策者」ならでは把ええない旧友谷崎潤一郎および潤一郎をめぐる人々、あるいは谷崎の作品を簡潔・透徹した文体で描く。 (昭22・イブニング・スター社) 吉田精一著 114. 永井荷風 高橋俊夫解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9213-0 戦後いち夙く作家活動を再開した時点で、周到な資料批判と鋭い分析によって荷風の伝記的側面と作品の解明を綯い交ぜに詳述し、一面的批評の域にあった従来の荷風研究を凌駕し得た作家作品論。 (昭22・八雲書店) 平輪光三著 115.長塚節 −生活と作品− 大戸三千枝解説 本体8,000円 ISBN4-8205-9214-9 長塚節は、いわゆる「自然主義文学」として『土』を書いてはいないとすれば、本書もまた何ものにも囚われない立場から長塚節の生活と作品を厖大な資料の批判と整序をもって構成し、節研究の布石とした。 (昭18・六藝社) 森田草平著 116. 夏目漱石 平岡敏夫解説 本体8,000円 ISBN4-8205-9215-7 「先生の思出」は〈私の見た夏目漱石〉、漱石とその一門諸家の回想、「漱石研究」は伝記的考察、「初期の作品」は解説と鑑賞等の3部構成で、草平の「先生と私」であるが自ら資料的側面をもつ。 (昭17・甲鳥書林) 和田芳恵編 117. 樋口一葉研究 松坂敏夫解説 本体9,500円 ISBN4-8205-9216-5 序跋略伝篇・研究批評篇・追憶感想篇等は諸家の回想と資料、別に年譜書誌篇を収めた4部構成で、樋口一葉の人となりや作品についての資料集。編者は本書編集中に「新しく一葉を発見した」と述懐する。 (昭17・新世社) 吉村貞司著 118. 三島由紀夫 長谷川泉解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9217-3 「花かざりの森」「中世」、さらに「仮面の告白」から「禁色」へ、華麗な変貌とロマン様式構築の軌跡を、作品の成立をたどって分析と裁断をこころみ、三島文学のアイデンティティを探る。 (昭31・東京ライフ社) 和田利男著 119. 宮沢賢治童話文学 萬田務解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9218-1 先ず童話文学の革命を『注文の多い料理店』の「序文」によって説き、賢治童話の本質を宗教性・人間性・郷土性・諧謔性・幻想性・科学性・絵画性・音楽性等から詳考、虚妄に類する賢治称場を排す。 (昭24・不言社) 山田弘倫著 120. 軍医 森鴎外 長谷川泉解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9219-X 先輩や同僚など数十氏に飛書して得た寄稿を経に、鴎外の軍医生活に側した事項を緯とし、年次を追い排列するがいわゆる伝記・随筆・年譜の体裁を避け、専ら「軍医としての森鴎外」をとらえる。 (昭18・文松堂書店) 近代作家研究叢書 第VIII期 全15巻 (第121〜135巻) 揃本体96,000円 ISBN4-8205-9221-1 NDC910.26 93.12刊 吉田精一著 121. 芥川龍之介 宮坂覺解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9222-X 芥川の作品に見える異国情趣を、出生の地が外人居留地内であったことに原風景としてのトポスを指摘する序論以下、芥川の生活と作品を40章に分けて考証し、現代にいたる芥川研究の基礎を築く書。 (昭17・三省堂) 笹淵友一著 122. 北村透谷 佐藤泰正解説 本体7,500円 ISBN4-8205-9223-8 透谷の作品の成立を、アイデンティティとしてのキリスト教から探り、作品のジャンルの枠をはずして宗教・生命・文学・恋愛などの諸観点から近代人としての「自我」を考察した現代的視点による論考。 (昭42・福村書店) 保田與重郎著 123. 佐藤春夫 高橋世織解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9224-6 民族と文芸という著者一連の命題による作家論。民族の血脈を継ぐ近代詩人としての佐藤春夫を、課題と意識・新文明と詩人・浪漫主義と自然主義・近代文学と小説・事変と文学者等の章だてで論考。 (昭15・弘文堂書店) 亀井勝一郎著 124. 島崎藤村 −漂泊者の肖像− 垣田時也解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9225-4 『破戒』が日露戦争の渦中に書かれ、『夜明け前』の成立を第1次世界大戦の遭遇にその端緒を見た上で、漂泊の旅人としての藤村を西行・芭蕉に重ね、近代人としての苦悩と葛藤の構図を詳らかにする。 (昭14・檸檬社) 大野林火著 125. 高浜虚子 山下一海解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9226-2 高浜虚子の作品を@明治時代(A)子規生存時代A同(B)虚碧併立時代(以上初期)B大正時代・所謂写生時代(中期)C昭和時代・花鳥諷詠時代(後期)の4時代3期に分け、虚子の句作を配して詳述する。 (昭19・七丈書院) 本間久雄著 126. 坪内逍遥 −人とその芸術− 浅井清解説 本体5,500円 ISBN4-8205-9227-0 坪内逍遥−業蹟点描/小説神髄源流考−玉のお櫛との関係/春風情話−スコットと馬琴と/逍遥とシェークスピア/役の行者と近代絵画/逍遥と史的位相等および外国文学などとの比較文学的考察などの諸篇。 (昭34・松柏社) 中村稔編 127. 中原中也研究 北川透解説 本体5,500円 ISBN4-8205-9228-9 宿命的なうた・大岡信/「朝の歌」と「在りし日のうた」・花木正和/日本の詩に対する一つの疑問・黒田三郎/中原中也の生活・中村稔/傍役の詩人・篠田一士/詩人の境涯・安東次男の6篇を収む。 (昭34・書肆ユリイカ) 江藤淳著 128. 夏目漱石 平岡敏夫解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9229-7 第一部=漱石の位置/漱石神話と「則天去私」・文明開化と文明批評・神経衰弱と「文学論」・職業作家漱石の誕生ほか、第二部=「門」から「明暗」にいたる漱石晩年の作品論を収めた作家作品論集。 (昭31・東京ライフ社) 今井邦子著 129. 樋口一葉 関礼子解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9230-0 研究篇=樋口一葉の恋愛・生活・作品論、随想編=たけくらべ・一葉と歌子・一葉と花圃・一葉の歌集・一葉の本質等7篇。特に一葉の日記を評価し、実生活と作品の関係を重視するが両者は峻別する。 (昭15・萬里閣) 国崎望久太郎著 130. 正岡子規 坪内稔典解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9231-9 戦後「第二芸術」論に端を発した俳句第二芸術論・短歌滅亡論囂しい時代に書かれた短詩型文学論。すでに短詩型文学否定の書として『新体詩抄』(特に序文)があることを踏まえ、俳句の本質を考察。 (昭31・創元社) 松根東洋城著 131. 俳諧道 山下一海解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9232-7 東洋城主宰の「渋柿」に毎号掲載した巻頭語の集成で、創刊号(大正4年2月)から昭和13年2月号までの300余篇。その悉くが俳論、句作論で、「渋柿」の指針として広く読まれた。著者の処女出版。 (昭13・渋柿社) 三木露風著 132. 露風詩話 三浦仁解説 本体4,500円 ISBN4-8205-9233-5 「日本音律の起源竝に象徴其他」「短詩型と我国民性」ほか古典に見える詩歌論、「詩について」「リズム」「情趣の弁」「明治の詩」「詩の問に答へて」など近代詩論あるいは詩体論・詩人論など30余篇。 (大15・第一書房) 河東碧梧桐編 133. 子規言行録 坪内稔典解説 本体15,500円 ISBN4-8205-9234-3 正岡子規をそれぞれの立場から描いた追憶談・追悼文の集大成で、羯南・鳴雪・不折・為山・一念・漱石・紫影・虚子・四方太・江緑・鼠骨・繞石・碧梧桐・左千夫・秀真・節・松宇・八重等42氏の諸稿。 (昭11・政教社) 丹慶英五郎著 134. 宮沢賢治 萬田務解説 本体7,500円 ISBN4-8205-9235-1 I作品論は「よだかの星」系および「オッペルと象」などの二系列として把え、II人間像では、「芸術的転向と実生活」ほかによって作品を解明し、別に方法論としての「読者論」を試み、新視点を樹立。 (昭37・若樹書房) 石川淳著 135. 森鴎外 長谷川泉解説 本体5,500円 ISBN4-8205-9236-X 「人物を論じない。伝記に亙らない。官人としての事蹟を叙さない。時代に係合を附けない。」等「何を書かないか」を律し、「渋江抽斎」「北条霞亭」をテクスト論として採りあげた最も早い「作品論」集。 (昭16・三笠書房) 近代作家研究叢書 第IX期 全15巻 (第136〜150巻) 揃本体90,000円 ISBN4-8205-9239-4 NDC910.26 93.6刊 上笙一郎編 136. 小川未明論集 上笙一郎解説 本体8,000円 ISBN4-8205-9240-8 小川未明の作家作品論を I 「小説家として」II「童話作家として」論じた論考およびIII座談会ほかに三大別、同時代評から現代に到るまでの諸篇を集成し、未明研究・評価の変遷を展望する。 (新編集・底本は初出ほか) 石川弘著 137. 梶井基次郎論 熊木哲解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9241-6 「好んで闇のなかへ出かけた」(「闇の絵巻」註VI)梶井基次郎を「闇という空間」からイメージし、「美しいが短い時間」を描いた作家であると捉え、時空の交錯するトポスから批評の可能性をさぐる。 (昭39・荒野発行所) 小野茂樹著 138. 若き日の国木田独歩 −佐伯時代の研究− 北野昭彦解説 本体8,000円 ISBN4-8205-9242-4 従来自明とされていた「自然」あるいは「日常性」などを相対化し、初めて日本文学に近代を齎した独歩の諸作品の胚胎を佐伯時代におき、10余年におよぶ実地踏査と資料蒐集によってなる1巻。 (昭34・アポロン社) 瀧井孝作著 139. 志賀さんの生活など 紅野敏郎解説 本体7,000円 ISBN4-8205-9243-2 大正9年2月、著者がはじめて我孫子の志賀直哉を訪ねた「我孫子にて・A」ほか、我孫子・京都・奈良での直哉との交友、あるいは直哉の作品・書その他人事と風物を簡潔にして鋭い文体で描く諸篇。 (昭49・新潮社) 赤木桁平著 140. 夏目漱石 平岡敏夫解説 本体8,500円 ISBN4-8205-9244-0 漱石の死の翌年に上梓された本書が、単なる褒貶の書としてでなく、門下生が師を批評し得るかという今日的視点からの射程に対しても応えることを示す生涯の輪郭・業績の概観・芸術の本質ほか収録。 (大6・新潮社) 巽聖歌著 141. 新美南吉十七歳の作品日記 続橋達雄解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9245-9 新美南吉没後に発見された日記および筆写ノートを@「ごんぎつね」 の原作〔稿本〕A代用教員時代の日記B童謡C詩D短歌E随想に分類し、各篇について成立・テクストその他にわたって詳しく解説。 (昭46・英宝社) 和田芳恵著 142. 一葉誕生 松坂俊夫解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9246-7 「大吉あやめ考」(「文学」昭和26・11)以降も一葉の祖父および父祖の地その他にわたって資料の発掘と蒐集を続けた著者の一葉研究の一結節点を示す「一葉の誕生」から「奇跡の期間」までの研究。 (昭49・現代書館) 島木英著 142. 樋口一葉 関礼子解説 本体4,000円 ISBN4-8205-9247-5 樋口一葉のテクスト(日記・作品)を「関係の現実性」としてとらえ、「存在性の形と生の方向」「一葉の恋」「作品主題論」「結び」の部だてを以って樋口一葉の思想形成の過程を問う試論。 (昭48・紀伊國屋書店) 小久保実著 144. 堀辰雄 杉野要吉解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9248-3 堀辰雄の文学は、「すべての意匠を剥奪したところから生まれ」、真の作品論もまた「作品の意匠を剥ぎとること」によってのみ可能であるという観点による「聖家族」論から、「菜穂子」論までの5篇。 (昭26・現代文学研究会) 後藤亮著 145. 正宗白鳥 −文学と生涯− 瓜生清解説 本体7,500円 ISBN4-8205-9249-1 「回心の諸説」「一つの秘密」から「花さうび」までの40余篇は、正宗白鳥の60年におよぶ信仰とその否定・懐疑を論点にした評伝であり、屈折した正宗白鳥のアイデンティティを問う書といえる。 (昭41・思潮社) 大藤幹夫著 146. 宮沢賢治童話における色彩語の研究 〈改訂版〉 萬田務解説 本体6,500円 ISBN4-8205-9250-5 I 「色彩語研究の意味」はその問題点および未明の「赤」、広介の「白」、賢治の「青」を、II「宮沢賢治」は色彩表現を、IIIでは「賢治童話の色彩語の諸想」をそれぞれ分析考証する。附「作品別作家別色彩分類表」 (私家版) 金子洋文著 147. 生ける武者小路実篤 遠藤祐解説 本体3,500円 ISBN4-8205-9251-3 我孫子の武者小路実篤宅の寄寓生活に訣別する頃から筆を起こし、生活者としての実篤、作家としての実篤、新しき村の、あるいは思想家としての実篤のを、不離不即の関係を保ちながら描いた評伝。 (大11・種蒔き社) 上笙一郎著 148. 与謝野晶子の児童文学 〈増補版〉 和田典子解説 本体5,000円 ISBN4-8205-9252-1 I「与謝野晶子の児童文学」は、晶子の児童文化的側面からの教育実践・文化学院・思想論等、II増補編は、『少年少女』のこと・歌劇「君、死に給うことなかれ」の思い出ほか3篇。 (昭63・関西児童文化研+新稿) 相馬御風著 149. 還元録 松沢信祐解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9253-X 旺盛な批評活動の筆を折って郷里へ隠棲するに際しての心懐ほかを「告白」(緒言)の書として章だて等の整えなし(本書は目次を欠く)で想ふがままに筆を運んだ内省の記録。御風の思想的転位を示す。 (大5・春陽堂) 遠丸立著 150. 呪詛はどこからくるか 〈増補版〉 阿部正路解説 本体6,000円 ISBN4-8205-9254-8 深沢七郎論は「鈍感さと遊びについて」他、高橋和巳論は「ユートピアの眺望」他、小川国夫ノートは「故郷への飢え」他、D・H・ロレンス論は「呪詛はどこからくるか」他、別に新稿3篇増補。 (昭47・三一書房) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[ 戻る ] |